ビルメンテナンス業の社会的意義

1. エッセンシャルワーカーとして注目の業種

新型コロナウイルス感染症拡大の際、社会活動を停止させないために必要な職業は「エッセンシャルワーカー」と呼ばれ、改めてその重要性が注目されました。東京都では主なエッセンシャルワーカーとして、医療、消防、教育、福祉の他、生活関連業として、物流、小売業などライフラインを支える職業の中に、消毒・清掃業として我々ビルメンテナンス業を挙げています。
ビルメンテナンス業は、人々が行き来する街や建物の安全かつ快適な空間を清掃、設備管理、警備を通して提供する仕事であり、まさに現代社会のインフラを担っている職業なのです。
また、ビルメンテナンス業は学校や病院等の清掃も担っており、コロナ禍においては、医療従事者とともに感染リスクの高い現場での作業を行い、医療現場を支えております。
その他にも、ウィズコロナ時代には除菌・消毒の意識が高まっており、ドアノブやエレベーターボタンなどの清拭により感染拡大防止に貢献しています。

2. 環境面から大都市東京を支える職業

現代社会においては、地球規模での自然との共生や人間環境のあり方が問われています。2015年には国連でSDGs(Sustainable Development Goals)が定められ、世界的にも持続可能な社会構築に向けた動きが加速しています。これはビルメンテナンス業界も例外ではありません。ビルオーナー様と歩みを揃え、建物の省エネルギー化によるCO2の削減を通じた脱炭素社会の実現や、洗剤や清掃機具などを見直すことで、環境保護を意識したクリーンなビル管理を通して環境衛生の確保に取り組むことが求められています。
社会のインフラを支え、このような「あたりまえの日常」を次世代まで繋げていくことは我々の大きな役割です。それゆえ、地球環境や地域社会に貢献する持続可能な取り組みに挑戦していくことが重要なのです。

3. 老若男女問わず活躍できる職場環境

世界的なジェンダーレス化の流れの中、日本でも性別に関係なく活躍できる社会構造へと改革が始まっています。また、年齢という点では人手不足という事情もあり、定年延長など高齢者の雇用制限を緩和する流れも生まれています。
ビジネス社会においてジェンダーレスとエイジレスを実現するには、より柔軟な勤務体制を構築し、労働者の働きやすさを守ることが求められます。職場と家庭の両立がしやすかったり、体調に応じて出勤日数や勤務時間の調整ができたり、その人にあった働き方を実現する必要があるのです。ビルメンテナンス業の現場では、かねてより老若男女問わず、さまざまな人が活躍しており、家の近所で働く、短時間で働くなど、個人の要望に応じた勤務が可能です。つまり時代を先取り、ワーク・ライフ・バランスを重視した働き方を構築しているとも言えます。
現場によっては週に1日出勤からや、1出勤あたり2時間勤務からなど多彩な働き方があり、学生の登校前のアルバイト、主婦(夫)の時短パートなどにも最適です。また、定年後の第2のキャリアとして選ばれることも多く、決まった時間に出勤して体を動かすことで健康を維持している人も少なくありません。若い世代は、将来の幹部候補として活躍しながらプライベートも充実し、自分らしく働ける業界なのです。

4. グローバル化に対応するダイバーシティ経営

近年、仕事や学業を目的とした訪日外国人が急増しており、多文化共生が求められています。多文化共生とは、「国籍や民族などの異なる人々が互いの文化的なちがいを認め合い、対等な関係を気づこうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」であり、日本の常識だけでなく、相手の文化を理解し、尊重する社会の構築が必要となります。
また、共生に関しては外国人だけでなく、障がい者についても同様です。障がいは種類や等級によってさまざまですが、対応可能な作業をピックアップすれば貴重な人材となるのです。
こういった性別や年齢、国籍、文化、価値観など多彩なバックグラウンドを持つ人材を活用することをダイバーシティ経営と呼びます。近年はグローバル化や顧客ニーズの多様化といった市場変化に対応するため、ダイバーシティ経営に取り組む企業が増えています。
ビルメンテナンス業務の中でも清掃業は、すでにダイバーシティ化が進みつつあります。全国ビルメンテナンス協会では、ビルクリーニング外国人材受入支援センターを設立し、外国人材の受け入れを促進する事業を展開し、企業と外国人材を繋いでいます。また、東京ビルメンテナンス協会では、外国人従事者向けに清掃業の初心者用テキストの外国語版を制作するとともに、外国人従事者の雇用に関する各会社への啓発セミナーを実施しています。さらに、障がい者向けに都内の特別支援学校で清掃指導等も実施することで障がい者の技能向上や就業支援にも取り組んでいます。
このように、外国人や障がい者の就労意欲を高めることで、ビルメンテナンス業界のダイバーシティ化を実現しています。